空を見上げる涙は #25
「うわ・・・スゴイ、美味しそう・・・。」
テーブルの上には温かな家庭料理が所狭しと置かれていた。
あっさりの方が・・・と言っていただけあって、野菜中心のメニュー。
メインはテーブルの真ん中に鎮座する散らし寿司のようだ。
美味しそうな匂いに、忘れていた空腹感を思い出してしまう。
「まともなご飯って、久し振りかも・・・。」
「ちゃんと食えっていっつも言ってんだろ?!これ以上細くなってどうすんだよ。ほら晶、ここ座れ。」
促されて洸希の隣に腰を下ろすと、キッチンから祐希が汁物を運んでくる。
「沢山食べて下さいね。」
祐希の言葉を合図に、和やかに食事が始まる。
祐希の自分に対する態度は少々気に掛かるが、打ち解けたらしい2人の様子に、洸希は安堵の笑みを洩らした。
くだらないプライドばかりが先に立ち、家に連れて来ることを拒んだ時間が悔やまれる。
そのせいで、晶にはしなくても良い誤解をさせてしまった。
「そう言えば祐希、お前本当に明日は行かなくて良いんだな?」
「・・・行かないって言ったよね、俺?」
「いや、一応最終確認。で?」
「で?って、何が?」
「初デートは何処に行くのかなぁ、なんて。」
「え?明日祐希くんデートなんだ?」
「晶さん?!そんなんじゃないんです!!佐伯の、佐伯って友達なんですけど。そいつの地元に遊びに行くだけで・・・その、そもそもそいつも男だし・・・。」
「男だ女だは関係ねぇだろ?俺たちだってそうだし。」
晶の言葉に瞬時に赤くなる祐希にニヤニヤとした笑みを向けると、思い切り睨み付けられた挙句、晶には軽く抓られてしまう。
イテェよ、と腕をさすりながら、視線を逸らさない祐希に眉根が寄る。
「なんだよ?」
「・・・洸希のバカ!洸希がからかうから俺も慌てちゃったんだ。そのせいで佐伯も変に気使っちゃってるみたいでさ。あの後目見て話してくれなかったんだから!」
「へぇ・・・俺との電話を聞いてからか。それって、焼きもちなんじゃねぇの?」
「っ!そんな事ある筈ないだろ?!佐伯がいるの分かっててからかうなんて性質悪い!!」
「ぷっ・・クスクス・・・。」
「晶?何笑ってんだよ?」
「何か、兄弟って良いなぁって思って。」
祐希との会話を黙って聞いていた晶が、不意に笑い出す。
久し振りに目にする作り物じゃない笑顔に、思わず疼き出しそうになる熱を堪えるのに苦労する。
「・・・そか。これで誤解は解けた?」
意趣返しとばかりに耳元でそっと囁くと、一瞬の間を置いて晶の首が小さく縦に振られた。
不機嫌そうに顔を背けられるが、よく見ると、微かに耳が赤くなっている。
(はぁ・・・こういうとこがまた、可愛いんだよなぁ。祐希がいなきゃこのまま押し倒してるぜ、ったく。)
早いところ飯を切り上げ、晶を送り届けなければ理性が保たない。
向かいできょとんとしている祐希に、何でもないと首を振りつつ、洸希は流し込むように残りの料理を口に押し込み始めた。
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テーマ:BL小説│ジャンル:小説・文学
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│2008/07/21(月)00:00




