僕達だけの天国 (27)
2009-01-09(Fri)
あの日、泣きながら家に飛び込んできた美佐子と郁巳。
2人に連れ添うようにして、家族皆で向かった先は病院で・・・・。
両親の慌てた様子に、子供ながら大変なことが起こったのだと理解した。
そして・・・向かった先。
病室のベッドの上、何の表情も無いままぼんやりとしていた隼弥の姿に、ぞっとした。
『水族館に行ったら、あっちゃんにお土産買ってくるからね!』
『やりぃ!約束な!!』
そんなやり取りをして笑顔の3人を見送ったのは、ほんの数日前だったのに。
弾けるような隼弥の笑顔を見たのも、ほんの数日前の事なのに。
駆け寄った敦の事も、それどころか美佐子達の事すら分かっているのかいないのか。ぼんやりとしたままの視線は、誰の瞳を捉えることも無かった。
それでも、隼弥は生きていた。
それだけで、嬉しかった。
日を開けずに行われた葬式でも、隼弥は涙ひとつ流すことなく。
火葬場に着いて、高い高い煙突から吐き出される煙を、ただぼんやりと見上げていた隼弥。
そんな隼弥が、自分に気付いて微笑んだのだ。お土産と言って、笑ってくれた。
嬉しくて、悲しくて、涙が止まらなかった。
―― あっちゃんは、俺置いてどっかいなくならない?
敦の涙につられるように、零れ落ちた隼弥の涙。
次々と顔に筋を作るその涙を、止めてあげたかった。
頼りなさ気に揺れる瞳を、どうにかしてあげたくて・・・・。
約束する!と差し出した小指へとそっと伸ばされた隼弥の指は、微かに震えていて。
ずっと傍にいると言い切った敦に見せてくれた、久しぶりの笑顔が眩しかった。
あの時貰ったキーホルダーは、今でも敦の大切な宝物。
イルカの形をした、小さなキーホルダーは、すっかりボロボロで。チェーンが壊れたそれは、今ではストラップに作り替え、携帯の脇で揺れている。
―― 隼弥が自分の傍からいなくなるなんて・・・そんな事、ある筈ない
けれど、ここ最近ずっと様子のおかしかった隼弥。
昨日も今日も、隼弥は自分との間に、妙な壁を作っている。
「・・・・・あいつ、好きな子いたんだ――」
松本が慌ただしく出て行った音で目が覚めた。
静まり返った部屋の空気に起きることも出来ず、タオルケットに包ったまま寝たふりを続けた。直ぐに起きれば良かったと、後悔した時には遅かった。
深雪と隼弥の交わしていた会話。
それは、隼弥には想っている相手がいるということ。
そして、深雪は振られたという事実。
隼弥も自分も年頃の男で、まして隼弥はもてる。そういう相手がいたって不思議じゃない。
それなのに、どうしてか胸が痛くて。
「何なんだよ・・・俺だけ、知らなかったのかよ――」
隼弥に好きな子がいたなんて、全然気付かなかった。あんなにいつも一緒にいたのに。
自分は美亜ちゃんの事だって隠さず教えていたというのに、隠されていたという事実に、正直へこんだ。
自分は隼弥にとって相談相手にすらならないのかと。
「隼弥に恋人が出来たら・・・今までみたいに一緒にいれないのか?」
そんなことない!と頭からその考えを取り去ろうとしても、浮かんで来たのは隼弥に寄り添っていた深雪の姿。
自分が煽った筈なのに、並んでいる2人を見たら苛々して。隼弥の隣にいるのが自分じゃない事が堪らなく嫌で。
その事実が、敦の胸の中でもやもやとした感情を渦巻かせていた。
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敦くんの悶々タイムが続いております。
果たしてこのまま気付くのか?
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弾けるような隼弥の笑顔を見たのも、ほんの数日前の事なのに。
駆け寄った敦の事も、それどころか美佐子達の事すら分かっているのかいないのか。ぼんやりとしたままの視線は、誰の瞳を捉えることも無かった。
それでも、隼弥は生きていた。
それだけで、嬉しかった。
日を開けずに行われた葬式でも、隼弥は涙ひとつ流すことなく。
火葬場に着いて、高い高い煙突から吐き出される煙を、ただぼんやりと見上げていた隼弥。
そんな隼弥が、自分に気付いて微笑んだのだ。お土産と言って、笑ってくれた。
嬉しくて、悲しくて、涙が止まらなかった。
―― あっちゃんは、俺置いてどっかいなくならない?
敦の涙につられるように、零れ落ちた隼弥の涙。
次々と顔に筋を作るその涙を、止めてあげたかった。
頼りなさ気に揺れる瞳を、どうにかしてあげたくて・・・・。
約束する!と差し出した小指へとそっと伸ばされた隼弥の指は、微かに震えていて。
ずっと傍にいると言い切った敦に見せてくれた、久しぶりの笑顔が眩しかった。
あの時貰ったキーホルダーは、今でも敦の大切な宝物。
イルカの形をした、小さなキーホルダーは、すっかりボロボロで。チェーンが壊れたそれは、今ではストラップに作り替え、携帯の脇で揺れている。
―― 隼弥が自分の傍からいなくなるなんて・・・そんな事、ある筈ない
けれど、ここ最近ずっと様子のおかしかった隼弥。
昨日も今日も、隼弥は自分との間に、妙な壁を作っている。
「・・・・・あいつ、好きな子いたんだ――」
松本が慌ただしく出て行った音で目が覚めた。
静まり返った部屋の空気に起きることも出来ず、タオルケットに包ったまま寝たふりを続けた。直ぐに起きれば良かったと、後悔した時には遅かった。
深雪と隼弥の交わしていた会話。
それは、隼弥には想っている相手がいるということ。
そして、深雪は振られたという事実。
隼弥も自分も年頃の男で、まして隼弥はもてる。そういう相手がいたって不思議じゃない。
それなのに、どうしてか胸が痛くて。
「何なんだよ・・・俺だけ、知らなかったのかよ――」
隼弥に好きな子がいたなんて、全然気付かなかった。あんなにいつも一緒にいたのに。
自分は美亜ちゃんの事だって隠さず教えていたというのに、隠されていたという事実に、正直へこんだ。
自分は隼弥にとって相談相手にすらならないのかと。
「隼弥に恋人が出来たら・・・今までみたいに一緒にいれないのか?」
そんなことない!と頭からその考えを取り去ろうとしても、浮かんで来たのは隼弥に寄り添っていた深雪の姿。
自分が煽った筈なのに、並んでいる2人を見たら苛々して。隼弥の隣にいるのが自分じゃない事が堪らなく嫌で。
その事実が、敦の胸の中でもやもやとした感情を渦巻かせていた。
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