2009-01-06 00:00 | カテゴリ:【 Café Blessing 】
ジャンル:小説・文学 テーマ:BL小説
横目でチラチラと深雪の様子を伺っていた松本へ声をかけると、あたふたと見事なまでに動揺を見せる。そんな松本へ向けて表情を崩すことなく隼弥が言葉を続けた。


「お前に今までやってたノート、全部取ってあるよな?」

「?多分・・・探せばあるはず。捨ててはねぇから」

「んじゃそれ探して、月曜にでも深雪に渡してあげて」

「隼弥先輩?」


隼弥の提案に深雪が怪訝そうに眉根を寄せた。そんな深雪にやんわりと作った笑顔を向ける。


「今の質問箇所見ても、深雪基礎はちゃんと出来てるから大丈夫だよ」

「でも――」

「あのノートがあれば、後は自分でも理解出来るはずだから」

「・・・・分りました。でも、今日はちゃんと、ボクに教えてくださいね?」

「あぁ、じゃ、さっきの続きからやってこうか」


隼弥の表情をジッと見ていた深雪が、泣き出しそうな笑顔で縋りつくような視線を投げて寄越す。
そんな深雪の様子に耐え切れなくなったのか、松本が突然テーブルに広げていた勉強道具一式を片付け始めた。


「俺一旦帰るわ。ノート探して持って来るから、深雪お前ちょっと待ってろ」

「え、松本先輩!?」

「すぐ戻るから。ちょっと行ってくる」


松本がバタバタと部屋から飛び出して行った後に残るのは、シンとした静寂。
グラスの氷がカランと音を立てて崩れるのを、深雪はただ黙って眺めていた。


「そのアイスココア、松本がね、深雪はコーヒー駄目だからって――」

「・・・・松本先輩が?――美味しい…」


深雪がグラスに口を付けるのを見て、隼弥もアイスコーヒーを口に含んだ。
ほろ苦いコーヒーの味が、口中に広がる。
永と郁巳に、楽な方への逃げ道を選ぶなと、背を押されているような気がした。


「深雪はさ・・・ちゃんと自分の事を見てくれる相手、捕まえなよ。俺なんかじゃ無くて」


隼弥の言葉に弾かれたように、深雪の視線が隼弥へと向けられる。その視線を逸らすことなく受け止め、言葉を続けた。


「深雪は、何で俺のこと好きだって思ったの?」

「それは・・・・・隼弥先輩が――」

「うん、俺が?」

「・・・・・先輩、あの人と一緒に居る時だけ、すごく柔らかな表情になって。すごく、優しい目でその人の事見てて・・・・・ボクは、それが羨ましかった。あんな風に自分も想われてみたいって、羨ましくて」

「ちゃんと、そういう風に深雪を見てくれてるヤツ、いるじゃん?」

「でも・・・・・先輩、ボクは、先輩のこと本当に――」

「違うよ深雪。勘違いしてる・・・」

「勘違い?」


 ―― クシュッ 


「・・・冷房、止めていいか?」


聞こえてきた小さなクシャミ。
暑いのは苦手だけど、冷房に長時間あたるのも苦手なのが敦だ。毎年それで夏風邪引いてるのに、学習しないから困る。
薄いタオルケットに包まるようにして丸まる敦の姿に、意図せず口元が緩む。
深雪が言っていた柔らかな表情、きっと今自分の顔はそうなっているんだろうと思う。

傍にいるのは苦しくて仕方ないのに・・・・・。
それでも、敦を想うだけで、こんなにも心が満たされる。



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 ありがとうございます、更新がんばりますね(感涙) 
  
 深雪はどうなるのーー?
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